筑波大学
オリンピック・パラリンピック総合推進室

Office for the Promotion of Olympic and Paralympic Activities

最新情報

2020.10.12

スポーツ庁委託事業 ―アダプテッド体育・スポーツ指導者の養成(ダイバーシティ&インクルージョン)

 

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、東京2020大会)が2021年に延期となり準備が進められていますが、オリンピックとパラリンピックは、競技大会としてだけではなく、大会を契機としたレガシーづくりは招致段階から重要視されてきました。

 

国際オリンピック委員会(IOC)は2002年のIOC総会を経て、オリンピック憲章に「ポジティブなレガシーを、開催都市と開催国に残すことを推進する」と書き加えました。

 

2021年のオリンピック・パラリンピック競技大会をきっかけとした、未来につながる「ポジティブなレガシー」を遺すための取り組みが私たちにも求められています。

 

 

共生社会の構築(ダイバーシティ&インクルージョン)

 

東京2020大会では、「スポーツには世界と未来を変える力がある」というワードのもとに、3つの基本コンセプトが掲げられています。

 

そのコンセプトの一つが、「多様性と調和」です。

多様性とは、人種や国籍、年齢、性別、障害の有無など多岐にわたります。

多様な人々が、互いを認め合うことの重要性を再認識し、共生社会をはぐくんでいくことが、東京2020大会以降も続くレガシーとなるよう目指されています。

 

 

大会ビジョンなどについては、以下の東京2020大会公式ウェブサイトに掲載されています。

URL:https://tokyo2020.org/ja/games/games-vision/(大会ビジョン)

  :https://tokyo2020.org/ja/games/diversity-inclusion/(ダイバーシティ&インクルージョン)

 

 

 

学校現場におけるアダプテッド体育・スポーツの理解促進

 

上記のコンセプトを踏まえた東京2020大会のレガシーづくりの中で、最も注目される取組の一つに「スポーツを通した共生社会の実現」があります。

 

本学のアダプテッド体育・スポーツ学(AdS)研究室は、研究活動や実践活動のなかで、障害のある子どもたちが体育・スポーツの場で排除されないようにする取り組みを継続しておこなってきました。

学校教員を対象にした研修会や、ガイドブックの作成がその一例です。

 

ここでは、スポーツ庁との連携で実施した事業をご紹介します。

 

 

スポーツ庁による障害者スポーツ推進プロジェクト

 

障害者スポーツ推進プロジェクトは、スポーツ庁による障害者スポーツの推進に係る取り組みの一つで、2018年度に開始されました。

障害者スポーツの振興体制の強化や、身近な場所でスポーツを実施できる環境の整備などを目的にしたものです。

 

その中で本学を中心としたワーキンググループは、学校教員たちが障害のある子どもたちを自信を持って教えられるようにするために、カリキュラムの開発や研修会をおこなっています。

 

 

本学による障害者のスポーツ参加促進の取り組み ―指導者養成

 

本学は、国内でも数少ないアダプテッド体育・スポーツ学を専門とする教育研究体制を備えています。

また、総合大学として、附属特別支援学校や障害科学を研究する教員や学生との強い結びつきを持っています。

そのような背景のうえで、スポーツ庁の委託事業を推進しています。

 

 

事業目的

 

本学が担当した指導者養成事業の目的は、障害をもつ小・中学生が、学校において体育・スポーツを充実した環境のもと実施できるようにすることです。

 

学校に通う子どもたちが、障害や運動の技量に関係なくスポーツに参加できるようにするためには、指導の仕方を工夫したり、スポーツの内容を修正したりするといった、アダプテッドの考えが必要です。

そのアダプテッドの考え方を学校の教員に理解してもらうことで、学校の体育・スポーツの場で排除される子どもをつくらないことを目指します。

 

実施内容

 

まずは教員免許更新講習会で実施することを想定した研修のカリキュラムを試作し、アダプテッドの知識や技術を持つ教員を養成するための方策について、分析や課題抽出をおこないました。

カリキュラムの策定やその検証の実施にあたっては、他大学や支援学校の学識者や実務者もメンバーとして参加しています。

 

試作したカリキュラムは、障害児の体育指導の意義と理念についての共通科目のほか、発達障害や視覚障害などを選択科目として学べるよう設定されています。

それらは、経験が浅い教員にアダプテッドの視点を持ってもらうことと同時に、教員免許更新講習会で講師を務められるコア教員の養成を目的としています。

 

 

次に、試作したカリキュラムの効果を検証するため、2020年2月22日(土)茨城県立つくば特別支援学校で研修会を実施しました。

この研修会には、主に茨城県内の小中学校の特別支援学級や特別支援学校の教員、教育委員会、教職課程・免許更新講習を担当する大学教員らが参加しました。

 

子どもたちの「できない」「やりたくない」理由は様々です。

多様な子どもたちが参加できるようにスポーツをアダプテッドするには、ルールや用具、やり方、説明の仕方などに工夫をし、そのアプローチも、子どもたちの「できない」「やりたくない」理由によって変わります。

研修会は、座学で得た知識を実践的なものにするため、講義と実技の組み合わせでおこなわれました。

 

 

研修の終わりには参加者へアンケートを実施し、カリキュラムの効果を検証したほか、学校現場での困っていることをヒアリングし、今後の課題を抽出しました。

アダプテッドの知識と技術を定着させるため、今回の検証結果を基にワーキンググループは次年度以降の研修の計画を立てています。

 

※アンケート項目や検証内容、カリキュラムの資料については、スポーツ庁に提出した報告書に記載してあり、スポーツ庁のウェブサイトでご覧いただけます。(スポーツ庁 障害者スポーツ推進プロジェクトページ

 

 

 

スポーツ庁委託事業のほかにも、本学のアダプテッド体育・スポーツ学(AdS)研究室の教員や大学院生は、自治体が開催する障害者スポーツ指導者養成の講習会において、アダプテッドスポーツの講義や実技を担当しています。

 

共生社会の構築に寄与する本学のダイバーシティ&インクルージョンに係る取り組みについて、当室のHPでも紹介していきます。

 

 

齊藤 まゆみ

 

筑波大学体育系准教授、スポーツ庁による本委託事業の実施責任者。

アダプテッドスポーツの開発や指導法、体育・スポーツにおけるインクルージョンなどを研究しています。

そのほか、地域の運動教室やスポーツイベント「つくりんピック」などにも携わっています。

 

詳しくは、アダプテッド体育・スポーツ学(AdS)研究室のウェブサイトをご覧ください。

 

 

 

 

 

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