筑波大学におけるオリンピック・パラリンピック競技大会
-その歴史と教育、そしてアスリートたち-

The Achievements on the Olympic and Paralympic Games of the University of Tsukuba
: Its History, Education, and Athletes

ボランティア養成講座の紹介

ラグビーワールドカップ2019日本大会のほか、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会といったスポーツメガイベントの開催が近づいています。また、2019年には茨城県で国民体育大会・全国障害者スポーツ大会が開催され、つくば市においても自転車(ロード)やアーチェリー競技の実施が決まっています。大規模なスポーツ大会を運営するにあたって、障害の有無に関わらず、観客や選手の方々に対応できるボランティアが社会的に求められています。

筑波大学ではスポーツボランティア養成に関する講座を開講し、ひとりでも多くの本学学生が講義を通じて得た知識・技能・経験を有効に活かし、障害者スポーツのボランティアや障害者支援に携わっていくこと、また、生涯にわたって「共生社会の形成」に積極的に関わることのできる人材として活躍していくことを目指します。

 

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会をはじめとする大規模な大会で「リーダー」として活躍するために必要な知識や経験値を獲得できる本学の講座を紹介します。

 

(クリックすると拡大表示します。)

 

 

 

 

基礎講座「障害のある学生とともに学ぶ共生キャンパス~障害者スポーツボランティア基礎講座~」

 

春学期・秋学期 ともに水曜6限

主な受講内容と講師

人間系・DACセンター・体育系・保健管理センターの教員によるオムニバス形式で進行します。全10回の講義を通じて、障害ごとの理解を深めるとともに、スポーツボランティアとして活動するために必要となる基礎的な知識を学びます。

 

(第1回の様子:竹田一則 人間系教授)

 

「障害」と「共生社会」 竹田 一則 人間系教授
本授業のガイダンスとして「障害」とは何かについて解説し、「共生社会」や「共生キャンパス」の在り方について考える。
ボランティア活動とは何か 名川 勝 人間系講師
ボランティアの基本的な事項について確認し、大学という環境の中でこれを行う際に考えるべきことなどを述べる。
視覚障害学生の理解と支援 小林 秀之 人間系准教授
「見えない」(盲)・「見えにくい」(弱視)という状態を理解した上で、視覚障害学生のキャンパスライフに必要な支援について解説する。
聴覚障害学生の理解と支援 加藤 靖佳 人間系准教授
聴覚障害の特性について概説し、大学で行われている主な支援方法(手書き要約筆記・PC要約筆記等の情報支援)を紹介する。
運動・内部障害学生の理解と支援 名川 勝 人間系講師
運動・内部障害学生について、障害の状態やニーズと時期に応じてどのような支援を行うか解説する。また関連して、キャンパスバリアフリー、就職支援、生活支援などについても述べる。
発達障害学生の理解と支援 佐々木 銀河 DACセンター助教
発達障害は見た目だけでは判断できず、様々な誤解を受ける可能性がある。発達障害とはどのような状態なのか、また学生生活を送る上でどのようなハンディキャンプを有しているのかについて解説する。
保健管理センターと連携した支援:こころの問題 太刀川 弘和 医学医療系准教授・保健管理センター所長
障害学生のこころの問題や主な精神障害について学習し、保健管理センターと連携した支援や精神的危機への対応について考える。
アダプテッドスポーツ 澤江 幸則 体育系准教授
障害者スポーツ・アダプテッドスポーツについて概説し、大学内外で行われている取り組みを具体的に紹介する。
スポーツボランティア 澁谷 茂樹(笹川スポーツ財団)
「スポーツボランティア」について調査・研究している専門家を招聘し、スポーツボランティアについて概説する。またピョンチャン2018パラリンピックなど現場の様子を紹介する。
障害者スポーツボランティア:実際の活動を通して 竹田 一則 人間系教授
「障害者スポーツボランティア」として国内外問わず積極的に活動している大学院生2名をゲストスピーカーとして招き、障害者スポーツボランティアの実際の取組内容などを紹介する。

実践講座「障害者スポーツボランティア実践講座」

 

春学期:平成30年7月18日・7月19日(集中・2日間)
秋学期:平成31年1月30日・2月4日(集中・2日間)
※同じ内容を春・秋学期の2回開講予定です。

 

(クリックすると拡大表示します。)

 

主な受講内容と講師

障害への理解をさらに深めると共に、障害者スポーツや障害者に対応するコミュニケーション支援・移動支援の方法について実践を通じて学びます。人間系・体育系・DACセンターの教員による分野を超えた実践講座です。

障害者スポーツボランティアの理念 竹田 一則 人間系 教授、齊藤 まゆみ 体育系 准教授
障害者スポーツの理解とボランティア 松原 豊 体育系 教授
視覚障害の理解とボランティア 小林 秀之 人間系 准教授
聴覚障害の理解とボランティア 原島 恒夫 人間系 教授
運動障害の理解とボランティア 名川 勝 人間系 講師

 

履修条件

次のいずれかの授業を履修している学生及び過去に履修した学生に限ります。

  • 総合科目「障害のある学生とともに学ぶ共生キャンパス〜障害者スポーツボランティア基礎講座〜」
  • 「障害児指導法(H31年度~特別支援教育)」
  • 「障害と共に生きるⅠ」
  • 「障害と共に生きるⅡ」
  • 「障害科学Ⅰ」
  • 「障害科学Ⅱ」
  • 「アダプテッド・スポーツ教育」
  • 「アダプテッド・スポーツ科学」

 

 

2018年春学期の様子

1日目の様子

午前中は、竹田一則人間系教授、末富まゆみ人間系准教授から全体に係るオリエンテーションから講義を開始しました。その後、齋藤まゆみ体育系准教授による「障害者ボランティアの理念」、松原豊体育系教授による「障害者スポーツの理解とボランティア」を講義形式で授業がすすみました。齋藤准教授からの「具体的な活動の場を想像してみよう」という問いかけには、受講生自身の強みや体験を活かし、オリンピック・パラリンピック競技大会に限らないスポーツボランティアの場に関する発言がありました。

全体の様子

斉藤まゆみ体育系准教授

松原豊体育系教授

 

午後は、茨城県障害者スポーツ大会の担当者から「サポートボランティア」について、実際の活動内容の様子を映像を含めて説明がありました。その後、中央体育館の体操場に場所を移し、「ハンドアーチェリー」「卓球バレー」「ボッチャ」を3チーム(11名~12名)に分かれ、順番に競技を体験しました。ルール説明のあと、対戦形式で競技に取り組みました。今まで体験したことのない学生も多いようでしたが、実際に体験することで「工夫のしがいがあって面白い」「参加者に応じてアダプテッドできるスポーツだ」などというコメントが出たり、休憩時間に自主的にゲームを行ったりするなど、受講生たちからは強い興味をひかれた様子がうかがえました。

卓球バレーの様子

ハンドアーチェリー(車椅子)の様子

ボッチャの様子

 

2日目の様子

全受講生を2組にわけ、視覚障害・聴覚障害・運動障害のそれぞれの理解を講義で深めた後、介助の仕方について実習形式で授業を展開しました。実習の様子を紹介します。

 

視覚障害の理解とボランティア 人間系准教授 小林秀之 先生

2人ずつペアを組み、片方がアイマスクをつけ、もう一人が介助者となり、階段を含む構内を歩きました。小林先生から「階段では、手を手すりへ誘導したり、段差があることをしっかり伝達してあげましょう」と指導があり、介助者が口頭で情報伝達をすることが、視覚からの情報を得られない場合にいかに大切であるか学ぶことができました。

 

聴覚障害の理解とボランティア 人間系教授 原島恒夫 先生

口の動きだけ(ジェスチャーや表情はつけない)で伝言ゲームをするといかに伝達が大変で、相手のほうを向いて話すことはもちろん、ジェスチャーや顔の表情、筆談といった様々な手段を利用し、工夫して伝達することの大切さを学びました。また、4~5人のグループを作り、一人が防音用ヘッドフォンを装着した状態で他のメンバーが情報を伝達する要約筆記ボランティアも体験しました。

 

運動障害の理解とボランティア 人間系講師 名川 勝 先生

自走式車椅子に乗って、1時間ほどかけて構内を移動しました。学生からは「自走するのはすごく疲れた」「坂を自力であがるのはとても大変だった」「坂などの障害を迂回すると時間がかかるので、労力と時間のどちらを取るか問題になることがわかった」「視点が低くなり、普段は気づかない道のでこぼこなどが見えて、横転することを考えると怖かった」など意見が出ました。

 

 

スキルアップ講座「スポーツボランティア・リーダー養成研修会」

 

(クリックすると拡大表示します。)

 

春学期:2018年 7月26日(木)10時~17時
秋学期:2019年 2月  7日(木)10時~17時
※同じ内容を春・秋学期の2回開講予定です。

主な講習内容

  • スポーツボランティア/スポーツボランティア・リーダーとは
  • スポーツボランティアに関する統計
  • リスクマネジメント など

講師

澁谷 茂樹(笹川スポーツ財団 スポーツ政策研究所 主席研究員)
但野 秀信(日本スポーツボランティアネットワーク 事務局長)

履修条件

「障害者スポーツボランティア実践講座(自由科目/特設)」受講修了生限定

※本講座までに別途オンデマンド講義(約2時間)の受講が必須となります。詳細は実践講座内(裏面参照)にてお伝えします。
※本講座(無料)を受講し、JSVN(日本スポーツボランティアネットワーク)のライセンス発行を希望する場合は別途4,500円が必要になります。
※ライセンスに関する詳細はJSVNのHP(別窓表示)をご確認ください。

 

 

2018年春学期の様子

午前の部では、初めて会う人と同じチームになるにあたって必要なコミュニケーションについて、ペア、4人ずつ2つのチームに分かれ、実践を通じて学びました。続いて、スポーツボランティアとは何か、どういった人がスポーツボランティアに取り組んでいるのか、スポーツイベントにおけるボランティアの活動内容など、スポーツボランティアに関する総合的な情報を学びました。

受講者集合写真

全体の様子

 

アイスブレイクの様子

 

チーム内でまとめた意見を発表する様子

午後の部では、スポーツボランティア・リーダーとして活動する場合、リスクマネジメントの力が求められます。ボランティアとして活動するにあたって起こりうるリスクを想定し、どのように動いたらいいのかグループワークによる実践を交えて学びました。その後、「一般ボランティアから求められるスポーツボランティア・リーダーとは」「主催者から求められるスポーツボランティア・リーダーとは」をテーマに2チームで話し合い、チーム内で出た結果をまとめて発表しました。

受講者からの感想

●コミュニケーションのコツや大切さ、相手への思いやりを学んだ。

●リーダーとして必要なことや、立場によって求められることが違うということを学んだ。また、リーダーになりたいと思った。

●リーダーシップとは何かについて学ぶことができ、これまでの自分のリーダーとしての経験を振り返ったうえで今後の取り組みに活かそうと考えた。

●スポーツ・ボランティアリーダーとして活動するにあたっては、大会に関わる皆でスポーツを「楽しむ」姿勢を示すことが大切だということを学んだ。

ページの先頭に戻る