筑波大学におけるオリンピック・パラリンピック競技大会
-その歴史と教育、そしてアスリートたち-

The Achievements on the Olympic and Paralympic Games of the University of Tsukuba
: Its History, Education, and Athletes

研究と教育

2020.03.06

「ARIHHP サイエンスウィーク 2020」が開催されました

2020年2月16日(日)、17日(月)に「ARIHHPサイエンスウィーク 2020」が本学で開催されました。

当日の概要とともに、メディア向けに案内された研究施設についてご紹介します。

 

「ARIHHPサイエンスウィーク 2020」について、詳しくはこちらのページをご覧ください。

 

 

当日の概要

 

詳しいタイムスケジュールなどについては、ARIHHPのウェブサイトをご覧ください。

 

 

一般公開講座 2020年2月16日(日)

テーマ:「東京オリンピック・パラリンピックの年に考えるスポーツと先端科学の協奏:トレーニング革命2020」

 

ARIHHP設立以来初めて実施された一般公開講座で、現役アスリートである学生やコーチ、スポーツに関心のある市民なども多く参加しました。

 

タバタトレーニングの提唱者である田畑 泉 氏(立命館大学教授)と、入澤 孝一 氏(高崎健康福祉大学教授)が特別講演に登壇したほか、筑波大学や鹿屋体育大学の取り組みの紹介など、最先端科学に基づいたトレーニング革命について意見交換が行われました。

 

 

本学からは、第96回箱根駅伝に26年ぶりの出場を果たした陸上競技部の男子駅伝や水泳部の取り組みが紹介されました。

 

駅伝については、監督である弘山 勉 氏(筑波大学准教授)のほか、栄養サポートを行った運動栄養学研究室の麻見 直美 氏(筑波大学准教授)や心理サポートを行った雨宮 怜 氏(筑波大学特任助教)から、2020年の箱根駅伝出場の背景にあった取り組みについて紹介されました。

本学では、学問の垣根を越えて分野の異なる先生たちがチームを組み、アスリートをサポートしています。

 

運動栄養学研究室では、男子駅伝選手たちの夕食の調理やそのメニューの根拠となるデータ分析を、学生が主体となって行っています。

スイス代表の陸上女子リレーチームとトライアスロンチームが2019年に本学で事前キャンプを実施した際には、昼食の献立作成や調理をとおしてスイスのトップアスリートをサポートしました。

 

 

プレスカンファレンス 2020年2月17日(月)

テーマ:「東京オリパラとその先に向けたスポーツサイエンスの挑戦」

 

大学生や大学院生、研究者、共同研究機関、メディア関係者向けのカンファレンスです。

スポーツサイエンスが今後さらに発信されるよう、特別講演とARIHHPの最新研究成果報告をとおして、メディア関係者と研究者の交流が行われました。

 

 

放送局、新聞社、大学広報からの発表が行われた特別講演では、スポーツの持つ様々な要素をオリンピックやパラリンピックを通じて社会にどう実装していくのかなど、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の先を見据えた取り組みへの意見交換が活発に行われました。

 

 

また、ARIHHPの研究者たちからは、29テーマの最新研究成果の報告がありました。

アスリートの記録向上のためだけでなく、これからの社会を支えるための重要な役割を担うものとして、スポーツサイエンスの研究への期待が高まっています。

 

 

研究施設のご紹介

 

上記のプレスカンファレンス終了後には、本学の最先端の研究設備がメディア向けに紹介されました。

その一部の研究施設について、「心」「体」「技」ごとにご紹介します。

ARIHHPの研究部門や研究設備の詳細は、こちらをご覧ください。

 

 

心部門

fNIRS(機能的近赤外分光装置)

運動中の脳神経活動をイメージングする装置です。運動と認知機能の関係の研究成果で世界をリードする本学の研究グループが、この装置を用いて研究をしています。

 

 

写真左奥で頭に付けている装置によって、運動前後の脳の活動を測っています。

これらを駆使した最近の研究から、運動が体力の維持・増進だけでなく、認知機能の維持・改善にも役立つことが分かっています。

日常生活の中で無理なく継続することができるよう、スローエアロビックといった運動プログラムの開発も行われています。

 

 

体部門

環境制御室

最大8000mの高所環境(低圧低酸素)をシュミレーションできる大型環境制御室(写真左)です。低圧低酸素の環境下で身体にかかる呼吸循環ストレスの研究をしています。

 

 

右の写真は、温度、湿度、酸素濃度をコントロールすることができる環境制御室です。

ここでは、-10度の寒冷環境から45度の高温環境まで、温度を設定することができます。また、隣接する副室では、写真の主室とは別に温度、湿度を制御して実験することもできます。

オリンピック・パラリンピックに向けた研究として、暑さ対策の実験が行われています。

 

 

技部門

実験用回流水槽

日本最大級の回流プールです。泳動作中の抵抗や水流の流れを可視化し、トップアスリートの動作解析や水着の開発に用いられています。

 

 

プロペラでつくられた水流によって、スイマーは同じ場所に留まりながら泳ぐことができます。

両側面や上下からの撮影が可能で、関節に付けたLEDマーカー(写真左ひじ)から得るデータが動作解析に使われています。

 

山田拓郎選手(筑波大学水泳部出身、リオ2016パラリンピック銅メダリスト)の速さの秘密の解明にも、ここでのデータが活用されました。

また、東京2020オリンピックに向けた最新水着「アルティメット・アクアフォース X」の開発(株式会社デサントとの共同研究)にも貢献しました。

 

 

録画・遅延装置

プールの中を側面から撮影し、プールサイドにある大型モニターで水中動作の確認ができる装置です。カメラは可動式で、水中だけでなく水面近くの動作も確認ができます。

 

 

この装置によってアスリート自らが自身のフォームを確認することができ、トレーニングに活かされています。

 

 

風洞実験施設

世界最高峰のスペックを備えた、スポーツ専用の風洞実験施設です。

人工的に風を発生させる装置で(最高流速55m/s)、競技自転車やスキージャンプなど、スポーツウェアの研究開発、スポーツボールに作用する空気力の測定・評価などに用いられています。

 

 

空気抵抗のコントロールが鍵となる自転車競技やスキージャンプのウェアについて、写真のマネキンを使って解析しています。

生地の素材や場所を変えて空気抵抗力への影響を調べ、東京2020オリンピックの自転車競技用ウェアの開発が行われています。

過去には平昌2018オリンピックにおいて、スキージャンプの代表選手がここでの研究成果を活用したウェアを着用しました。

 

また、バレーボールやサッカーボールの空力特性の研究も行われています。

過去にはブンデスリーガなどのサッカー公式球の開発をしており、東京2020オリンピックのバレーボールで使用される新型ボールの研究も行っています。

 

 

 

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